「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」:読書感想文

お知らせ:2020年8月17日更新→

リクエストいただきました、七月隆文の「ぼくは明日、昨日のきみとデートするです」。読みやすいのでふだん本をあまり読まない人にもいいと思います。
ちなみにこのストーリーの元ネタはスコット・フィッツジェラルドの「ベンジャミン・バトンの数奇な人生」ですね。ブラッド・ピットの主演で映画にもなっています。

———————本文

ふだん本を読まない私がこの本を手にとったのは、正直に言うと読書感想文を書きやすそうだからだ。100万部も売れたというベストセラーだし、映画化もされている。また、作者はライトノベル出身の作者だ。ライトノベルとなれば読みやすいのだろう、と思ったからでもある。

この本は京都に住む20歳の大学生の40日間の恋愛を描く、青春ファンタジーラブトーリー。短い期間の恋愛となれば出会いと別れ。もうこの設定だけで、読者を泣かせるようにできている。ストーリーは主人公の高寿が通学中の電車で愛美に一目惚れするところから始まる。舞台は京都、季節は春。春といえば出会いの季節ですよね。高寿は運命的なものを感じて、思い切って声をかける。見知らぬ人からいきなり声をかけられ、告白されるなんて、女子からしたら憧れるシチュエーションだけど、実際にはないだろうなぁ、と思う。


ちなみに映画では高寿が福士蒼汰、愛美が小松菜奈だ。でも、正直私のイメージとは違う。本のいいところは、映画とは違って自分でキャラクターを想像できることだ。私は私の好きなイメージで登場人物を頭の中に思う浮かべる。

この舞台となった場所を調べてみる。二人が出会う電車は2両編成。まわりも緑に囲まれていて、この周辺には大学がたくさんあって、ほっこりあたたかい。二人はお互いに惹かれ合って、動物園に行ったり、京都の繁華街をぶらついたり、家に行ってご飯をつくって、一緒に食べたりする。まさに青春ですね。私もこんな大学生活を送ってみたいなぁ。


でも愛美にはなんか変なところがある。携帯電話を持っていなかったり、変に仕草が完璧だったり、これから起きることを言ったりする。物語の中盤、愛美は実はパラレルワールドから来ているのだと打ち明ける。その世界から高寿の世界へは5年に一度、一回の旅で40日しかいることができない。しかも、愛美の世界では時間が逆に進んでいる。高寿の明日は愛美の昨日。愛美が門限と言っていた午前0時に調整が入るのだと。

最初この設定がよくわからなかった。明日が昨日?高寿が30歳のときに愛美が10歳?まあそれはおいておいて、もう、この時点でこの二人が離れ離れになるのは決定的。あとはどのようになるのか、気になってどんどん読み進めてしまう。また、読んでいくうちになんとなく設定も理解できてくる。切ないのは高寿にとって愛美と初めて何かをした日、例えば思い切って声をかけた出会い、初めて手をつないだことが愛美にとってはそのことをした最後になってしまうということ。これはちょっと耐えられない。


愛美はとにかくことあるごとに泣く。それは涙もろいということではなくて、高寿にとって初めてのことが、愛美の最後のことだからだ。高寿が感じる愛美のじっと見つめる視線。それは愛美が20歳の高寿との40日しかない日々を目に焼き付けようとするからだ。ああ、切なすぎる。私は思わずページをさかのぼり、改めて二人のやり取りで愛美が泣いてしまったところを読んでしまう。高寿が5歳、愛美が5歳のとき、それぞれがお互いの命を助けている。このエピソードが二人の運命的なつながりをさらに深める。もう、これは運命の出会いですね。

残された時間を精一杯楽しむ二人。高寿にとってこれから起きることは愛美にとってはもう起きたこと。それを知らないふりの演技をしていた愛美を責めるも、愛美の配慮を想い、謝り、感謝する高寿。最後の場所は最初に出会った宝ヶ池のほとり。そこで午前0時に愛美は消えてしまう。この次にこの二人が出会うのは高寿にとっては彼が25歳、愛美が15歳で、愛美にとっては彼女が25歳で、高寿が15歳。そう考えると20歳の40日が奇跡に思える。

その後の余韻もいい。愛美の最後の日。つまり高寿の最初の日で、愛美に声をかける前のエピソード。愛美の視点で語られる。二人が短いけど多くの時間を過ごすことになるアパートの部屋の前から、高寿が愛美を見初める電車に乗り込むシーン。桜が咲く、春の温かい日。混んでいる車両をすり抜けるようにして高寿の前に進む愛美。本の最初のシーンがこの部分で高寿の視点だから、思わずそこに戻って読んでしまう。私はまた泣いてしまう。

この二人の出会いはとてもきらきらしていてうらやましかった。私は20歳になったらこんな出会いがあるのだろうか?たぶんないと思うが、それでも憧れてしまう。あと、京都で学生生活もいいなぁなんて思う。最後に月並みな感想だが、本を読むのはいいと思った。これを機会にもっと色々な本を読んで見ようと思った。あと、この映画は今度見てみようと思う。おそらく私は泣いてしまうだろう。(1898字)

コメントする